人が亡くなると、その人が所有していた財産は相続人に引き継がれることになります。

「財産」とは、現金・預貯金・不動産・株式などの有価証券等一切を指します。ただし、プラスの財産だけではなく、借金などの債務も財産に含まれます。

このようにプラスの財産もマイナスの財産も含めて一切の財産を相続することになりますから、プラスの財産だけを相続してマイナスの財産は放棄するといったことができないわけです。となると、自分が相続人にあたるかどうかというのはとても重要なことだといえます。例えば、亡くなった人の借金をある日突然催促されることもありますから、精神的にも大きなストレスになります。

では、法律上だれが相続人になるのでしょうか?今回はこれについて解説していきます。

亡くなられた人のことを法律では「被相続人」といいます。ここでは、以下のような各パターン別の関係からだれが相続人となるのかの基本ルールをみていくことにします。これを基本として別のパターンについては、次回以降にお話ししていきます。

 

≪パターン1 配偶者と子供が相続人になるケース≫

(被相続人)田中三郎さん

(配偶者)田中博子さん

(長男)田中智司さん

(長女)田中仁美さん

 

⇒このケースでは、妻の田中博子さん、子供の田中智司さん、田中仁美さんの3名が相続人になります。法律上最もわかりやすい相続関係といえます。そして、このケースでのそれぞれの相続する割合は、配偶者2分の1、子2分の1となります。つまり、

配偶者 田中博子さん 2分の1

子供 田中智司さんと田中仁美さんで合わせて2分の1(それぞれ4分の1ずつ) 

です。

 

≪パターン2 配偶者と被相続人の親が相続人になるケース≫

(被相続人)田中三郎さん

(配偶者)田中博子さん

(子供)なし

(三郎さんの父)田中康夫さん

(三郎さんの母)田中良子さん

 

⇒このケースでは、被相続人の三郎さんに子供がいないため、妻の田中博子さんと三郎さんの両親である田中康夫さん、田中良子さんの3名が相続人となります。つまり、下の世代に相続人が全くいない場合には上の世代にいくということになります。

そして、このケースでのそれぞれの相続する割合は、配偶者3分の2、親3分の1となります。
つまり、

配偶者 田中博子さん 3分の2(6分の4)

親 田中康夫さんと田中良子さんで合わせて3分の1(それぞれ6分の1ずつ)

※親が一人しか存命でなければその親が3分の1を一人で相続します。

 

また、両親がどちらも亡くなっている場合でも、三郎さんの祖父母が存命であればその祖父母が相続人になります。この場合、三郎さんの祖父母は父康夫さん側の祖父母、母良子さん側の祖父母が対象となります。割合は、祖父母全体で3分の1となり上記の例と同様の割合となります。

もっといえば、仮に祖父母が全員亡くなっていてもその上の曾祖父母が存命である場合には、曾祖父母が相続人になりますが存命の可能性は低くなりますから実際にはなかなかないケースといえます。

 

≪パターン3 配偶者と被相続人の兄弟姉妹が相続人になるケース≫

(被相続人)田中三郎さん

(配偶者)田中博子さん

(子供)なし

(両親)すでに亡くなっている

(三郎さんの兄)田中久志さん

(三郎さんの弟)田中勝さん

 

⇒このケースでは、被相続人の三郎さんに子供(下の世代)も親(上の世代)もいないため、配偶者の田中博子さんと三郎さんの兄 久志さん・弟 勝さんが相続人となるパターンです。

このケースでの相続分割合は、配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1となります。
つまり、

配偶者 田中博子さん 4分の3

兄弟 田中久志さんと田中勝さん合わせて4分の1(それぞれ8分の1)

となります。

 

まずは、ここまでが法律で定められている相続人のルールと相続分割合の基本です。

次回はもう少し、ここから派生したお話しをしていこうと思います。

 

 

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