相続による財産の承継は法律で定められた相続分割合(法定相続分割合)とは異なる割合で承継することができます。その代表的なものとして前々回お話ししました「遺産分割協議」があります。

 

これは、相続人の全員が話し合いで財産の承継方法を決定するものでしたね。

今回はそれとは異なり、被相続人となる人が生前に財産の承継方法を決めておいて、死亡とともに承継されるというもので、「遺言」についてお話していきます。

遺言の方式は、法律によって決められており、それに反した場合には無効になることがあります。

普通方式の遺言方法には、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」があります。

このうち「秘密証書遺言」については、利用されるケースが少ないため、説明を省略します。「自筆証書遺言」「公正証書遺言」については、回を分けてお話していきたいと思います。

 

今回は、遺言というものがどのようなものかについて説明していきます。

 

遺言は、一度書いたら変更できないものではなく、生前に何回でも書き直すことができます。書き直す場合には、後の遺言で前の遺言を撤回することもできますし、前の遺言と後の遺言が抵触する箇所については、後の遺言が有効とされます。

つまり、「被相続人の最後の意志を尊重する」ということです。

 

遺言に記載する内容は、財産の承継に関することとその他の法律で定められた事項のみです。その他の法律で定められた事項とは、たとえば「認知」などがあります。

遺言の中で「兄弟仲良く暮らしれほしい」などの想いを述べることもできますが、法律的な拘束力はありません。

財産については、自由に書くことができますから、相続人のうちの一人に全財産を残すこともできますし、生前特に恩のある人(親族以外の他人も可)などに財産を残すこともできます。法定相続人以外の人に承継させる場合を「遺贈遺言で行う贈与)」といいます。

ただし、兄弟姉妹が相続人となる場合を除いて、法定相続人には最低限保証された相続分(これを「遺留分」といいます)がありますから、これを超えた内容の遺言をした場合には、後で遺言により財産を譲り受けた人に「返してくれ」と主張することができます。

この「遺留分」については、別の回に改めて詳しくお話しします。

 

では、次回から2回に分けて、遺言の方式について解説していきたいと思います。



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