法務局で管理している登記記録には、「不動産登記」「商業(法人)登記」「成年後見登記」「動産譲渡登記」「債権譲渡登記」「船舶登記」があります。この中でも特に一般的なものが「不動産登記」と「商業(法人)登記」です。

今回は、この「不動産登記」「商業(法人)登記」について、申請時に必要となる印紙代について解説しようと思います。この印紙代のことを「登録免許税」といいます。

「不動産登記」は、さらに「表題登記」と「権利登記」に分かれます
「表題登記」は、建物が建築されたとき、取り壊されたとき、増改築されたとき、あるいは土地を分筆した時や合筆したときなどに行うものです。つまり、不動産の形状などが変化した場合に必要なものが「表題登記」となります。この「表題登記」は、土地家屋調査士という国家資格者の専門分野で、司法書士は扱うことができません。

一方で、「権利登記」は不動産の所有者が売買や相続などなんらかの原因で変更された場合、不動産を担保に抵当権などを設定した場合など権利関係に変更が生じた場合に行う登記のことを言います。こちらが司法書士の専門分野となっています。

 

表題登記を申請する際には印紙代はかかりませんが、権利登記を申請する場合には“どんな登記を申請するか”によって、それぞれ決められた印紙代を納めなければなりません

代表的なものを見てみましょう。
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住所変更登記         → 不動産の個数×1000円
抵当権(根抵当権)の抹消登記 → 不動産の個数×1000円
所有権移転(売買)      → 不動産の評価額×1000分の20
 ★ただし、当面の間、土地については1000分の15まで軽減
 ★建物の移転については、住宅用家屋証明書(※)を添付する場合には1000分の3まで軽減
 ※住宅用家屋証明書…居住用として建物を購入するとき一定の条件を満たした場合に取得できる
所有権移転(相続)      → 不動産の評価額×1000分の4
 ★ただし、評価額が100万円以下の場合には非課税

抵当権設定          → 債権額×1000分の4
 ★ただし、住宅用家屋証明書を添付する場合には、1000分の1まで軽減
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このほかにもありますが、これを踏まえて少しだけシュミレーションしてみましょう

例えば、銀行から住宅ローン3000万円を融資してもらって、土地(評価額1000万円)と中古建物(評価額800万円)を購入する場合には、どのくらいの印紙代がかかるのでしょうか。※住宅用家屋証明書を取得できるとします。

まず、自分名義に所有権移転登記をすることになりますが、この場合の登録免許税は上記③記載のとおり、
土地 1000万円×1000分の15=15万円
建物 800万円×1000分の3=24000円
合計 174000円となります。

次に、銀行からの融資3000万円を担保するために抵当権設定登記をします。
債権額3000万円とすると、3000万円×1000分の1=3万円


このようなマイホームを購入した場合には、合計で20万4000円が印紙代だけでかかってくるのです。もちろん、不動産評価額や住宅ローンの融資額によって変わってきますが、まあまあの高額であることがわかります。


次に、商業(法人)登記についてみていくことにしましょう。
商業(法人)登記は、株式会社やその他の法人を設立したり、設立後に変更があった場合に登記が必要になります。こちらも、不動産登記と同様に一律の額ではなく、“どんな登記をするか”によって変わってきます。
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設立
(1)株式会社の場合
   →資本金の額×1000分の7 この額が15万円に満たない場合は15万円)
(2)合同会社の場合
   →資本金の額×1000分の7 この額が6万円に満たない場合は6万円)
(3)合名会社・合資会社・一般社団法人の場合
   →6万円
役員変更(取締役、監査役、代表取締役等の変更)
(1)株式会社の場合
   資本金が1億円以上の会社 →3万円
   資本金が1億円未満の会社 →1万円
(2)その他の会社・法人    →1万円
本店移転・主たる事務所移転
 1管轄につき3万円(例えば、大阪市内で本店を移転する場合には、同じ法務局管轄なので3万
 円ですが、大阪市から堺市に移転する場合には、大阪法務局分3万円と堺支局分3万円の合計6
 万円が必要になります。)
資本金の増加(株式会社・合同会社の場合)
 →増加する資本金額×1000分の7 この額が3万円に満たない場合には3万円
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これは一部ですが、登記申請の内容によって決められています。また、以下のような登記をする場合には、一律3万円となります。
・商号、名称変更
・目的変更
・公告方法の変更
・譲渡制限の定めの変更
・発行可能株式総数の変更
・資本金の減少
など

今回は、登記申請の際に納付する印紙代がどのくらいかかるかを説明してみました。
司法書士に支払う登記費用のうち、この印紙代(登録免許税)の占める割合は大きいです。
この印紙代(登録免許税)は、司法書士に依頼せずに自分で登記申請を行ったとしても必要となる部分の実費となります。

今後、登記申請を依頼される場合の参考になればと思います。



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