司法書士業務を長年やっていても、ほとんどご依頼いただいくことのない登記があります。

その一つに夫婦財産契約の登記というものがあります。当事務所でも1度だけご依頼いただいたことがあります。かなりレアな登記にはなりますが、今回は少しご紹介したいと思います。

 

まず、民法には夫婦の財産については以下のように規定されています。

(民法第762条)
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夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
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つまり、基本的には夫婦で協力して生活しているのだから、「婚姻中に得た財産は原則共有の財産としておきましょう。ただし、婚姻前からそれぞれが持っている財産や婚姻中に自己名義で得た財産はそれぞれの単有財産としましょう。」ということです。

ここでもうひとつ民法の規定をご紹介します。

(民法第756条)
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夫婦が法定財産制と異なる契約をしたときは、婚姻の届出までにその登記をしなければ、これを夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない。
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法定財産制とは、先ほどご紹介した財産の規定ですが、これとは違った取り決めを夫婦間で行うことができます
ここで「夫婦の承継人及び第三者に対抗することができない」という意味について説明しておきます。対抗するとは「自分の所有物です」と主張できるということです。つまり、「夫婦間で法定財産制とは違った契約をしてもいいけど、婚姻届を役所に提出するまでにその契約内容を登記しておかないと、夫婦の一方が亡くなった場合の相続人等やそのほかの第三者には主張しても通りませんよ」ということです。

ポイントは、「婚姻届を提出するまでに登記が必要」ということです。登記をしなくても、夫婦間においての契約自体は有効です。しかし、夫婦以外に主張しようと思うなら登記をしとかないとダメですよ。という意味です。


その登記のご依頼をいただいたことがあるのですが、法務局のホームページにもその申請書の見本はなく、書籍にも乗っていませんでしたので、六法全書を片手に仕上げたことを思い出します。

他にも、このようなレアな登記はありますので、またご紹介したいと思います。



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